フリークライミングが如何にして生まれたか

我々はいかに「石」にかじりついてきたか―日本フリークライミング小史

「我々はいかに「石」にかじりついてきたかー日本フリークライミング小史」 菊地 敏之 (東京新聞出版局)

まだ読み終えていないが、あまりに面白くて今日中に読み終えることが明らかなのでもう書いておこう。内容はタイトルのように日本のフリークライミングの歴史であり、著者は謙遜して「小史」などと書いているが、立派な歴史である。あえて客観的な書き方をせずにあくまで主観的な書き方をしており、砕けた表現になっている。それゆえどこまで信じて良いのかよくわからないところもあるが、フリークライミングのムーブメントの中心人物とは言わないが渦中におり、「クライミング・ジャーナル」の最後の編集長を務めた人間が書いた本なのだから、全く事実と違うということもないだろう。

いかに「岩登り」から「フリークライミング」が分離され、発展してきたか。当初は「岩登り」の訓練の一部であり、「ゲレンデ」と呼ばれる練習場において日本各地でバラバラに行われていたクライミングが、海外からの刺激を受けて「フリー」へと開化した。更に、ヨセミテから輸入されたクラック・クライミングからどのようにフェイス・クライミングに移行してきたかの流れについてもわかりやすく書かれている。

「フリー」の発祥と成長を知ることが出来るおそらく唯一の本であると思う。クライマーには強くお勧めする。装丁のイラストもクライミングの雰囲気が出ていて好きだ。前書きにもあるが、クライマー以外には理解できない世界なんじゃないかな。