リヴィエラを撃て〈下〉  新潮文庫

リヴィエラを撃て(下)」 高村 薫 (新潮文庫)

カタカナの名前を覚えるのが不得意で、名前が混乱して内容が追うのに苦労することが良くある。しかしこの本では、それぞれの人物の描き方がうまいためか、そういった混乱は少なかった。読み終わった今でも、ノーマン・シンクレアやジャック・モーガンといったこの本の中心人物が目の前に浮かんで来るようだ。エピソードの積み重ねによって登場人物の輪郭が徐々にはっきりしてくる。

そうして人物像を構築したのちに、下巻の冒頭から一気にクライマックスへと入っていく。中国の文化大革命で蒔かれた種は、すっかり成長したいま、どのように刈り取られるのか。